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新年を祝う日は一つじゃない?そう、実は日本には三つの「お正月」があるんです。
でも、これから紹介する正月、旧正月、立春正月の話を聞けば、きっとあなたも「へぇ~」と唸ること間違いなし。
- 日本には三つの「お正月」があること
- 正月、旧正月、立春正月の違いと特徴
- 冬至と旧正月の意外な関係性
- 旧暦と二十四節気の基本知識
- 各「お正月」に関連する伝統行事や風習
- 現代生活に残る旧暦の影響
正月から旧正月まで:冬至と旧暦が教えてくれる、日本の新年祝い3つの形
1. お馴染みの「正月」:太陽暦で祝う新年
これは、現在世界中で広く使われているグレゴリオ暦(太陽暦)に基づいています。
でも、日本がこの暦を採用したのは、実はつい150年ほど前の明治時代なんです。
1872年、明治政府は「太政官布告第337号」を発布し、それまで使っていた旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦)への切り替えを決定しました。
この大転換には、西洋に追いつき追い越せ!という明治政府の強い意志が感じられますね。
でも、こんな急な変更に、当時の人々は戸惑ったんじゃないでしょうか。「えっ、今年は12月が2回来るの?」なんて混乱が起きたかもしれません。
だって、旧暦の1872年12月3日が、新暦では1873年1月1日になったんですから。
ちなみに、お正月といえば「おせち料理」ですよね。実は、おせちの由来も旧暦時代にさかのぼります。
「節句」の料理が転じて「おせち」になったという説があるんです。昔の人の知恵と工夫が、今も私たちの食卓に生きているんですね。ほっこりしますね。
2. 「旧正月」:月の満ち欠けで決まる新年
これは、太陰太陽暦に基づく新年のことです。
毎年日付が変わるのが特徴で、だいたい1月下旬から2月中旬の間に訪れます。
旧正月の面白いところは、その決め方。冬至の後、2回目の新月の日が旧正月なんです。
つまり、冬至を基準に旧正月の日付が決まるわけです。なんだか、天体の動きと私たちの暮らしがぐっと近づいた気がしませんか?
実は、日本でも明治時代まではこの旧暦を使っていました。今でも、沖縄や一部の地域では旧正月を祝う習慣が残っているんですよ。
例えば、沖縄の糸満市。ここでは旧正月に漁船に大漁旗を掲げ、大漁や航海安全を祈願するそうです。海に生きる人々の思いが、今も脈々と受け継がれているんですね。
旧正月の主役は何といっても「豚肉」!クーブイリチー(昆布と豚肉の炒め煮)やラフテー(豚の角煮)など、豚肉料理がテーブルを賑わせます。
「豚」は「福」に通じるとされ、縁起が良いんだとか。美味しくて縁起が良いなんて、最高ですよね。
3. 「立春正月」:春の訪れを祝う新年
これは、二十四節気の一つである「立春」を新年の始まりとする考え方です。
立春は「春立つ」、つまり春の始まりを意味します。毎年2月4日頃にやってきます。
テレビで「今日から暦の上では春です」なんてニュースを聞いたことありませんか?あれ、実は立春のことなんです。
面白いのは、立春が必ずしも暖かくならない点。「暦の上では春なのに、まだ寒いなぁ」なんて思ったことありませんか?これ、実は昔の人も同じことを考えていたんです。
だからこそ、「春を待つ」という気持ちが生まれ、それが様々な行事や風習につながっていったんですね。
例えば、立春前日の2月3日に行われる「節分」。これって、実は「立春」を迎えるための行事なんです。
「鬼は外、福は内」のかけ声とともに豆をまくのは、新しい年に邪気を払い、福を呼び込む意味があるんですよ。
冬至と旧正月の関係
冬至は、一年で最も昼が短く夜が長い日。太陽が最も南に傾いた日でもあります。古来より、この日を境に太陽が「復活」し、日が長くなっていくと考えられてきました。
そこから生まれたのが「一陽来復(いちようらいふく)」という考え方。
これは「陰が極まった後に陽が戻ってくる」という意味で、冬至を境に日が長くなり、太陽の光が戻ってくる様子を表しています。
この「一陽来復」の考え方が、旧正月の決め方にも影響しているんです。冬至後の2回目の新月を旧正月とするのは、太陽(陽)の力が十分に戻ってきた頃合いを見計らっているんですね。
面白いのは、この考え方が単なる暦の話にとどまらず、人生観にまで影響を与えていること。
「一陽来復」は、「悪いことが続いた後に幸運がやってくる」という意味でも使われるようになりました。まさに、「冬来たりなば春遠からじ」ですね。
旧暦と二十四節気:自然のリズムを感じる暮らし
ここで、旧暦と二十四節気について、もう少し詳しく見ていきましょう。
旧暦は太陰太陽暦で、月の満ち欠けを基準にしています。
1ヶ月が29日か30日で、1年が354日か355日。これだと季節とずれてしまうので、約3年に1度、閏月(うるうづき)を入れて調整していました。
一方、二十四節気は太陽の動きを基準にしています。
1年を24等分し、それぞれに名前をつけたもの。春分、夏至、秋分、冬至はもちろん、立春、清明、白露、霜降など、季節の移り変わりを細かく表現しています。
これらの暦を使うことで、私たちの先祖は自然のリズムに寄り添った暮らしを送っていたんです。
例えば、旧暦の7月7日の七夕。実は、新暦だと8月頃になることが多いんです。そう、夏の夜空に輝く天の川を見上げるのにぴったりの時期なんですね。
また、お月見も旧暦の8月15日。これは、ほぼ満月の日に当たります。月が最も美しく見える日にお供えをするなんて、粋ですよね。
Q&A
まとめ:正月と旧正月の違いと冬至と旧暦の関係
実は、私たちの生活に深く根付いている旧暦の世界。これを機に、ちょっと違った視点で季節や行事を見てみるのも素敵かもしれません。
例えば、次の旧正月。中華街に行って、本場の雰囲気を楽しんでみるのはどうでしょうか?
赤い飾りに囲まれて、獅子舞を見ながら春節料理を楽しむ。きっと、新しい年の始まりを、今までとは違った形で感じられるはずです。
あるいは、立春の日。暦の上での春の始まりを意識して、ちょっとした春探しをしてみるのも面白いかも。
まだ寒いけど、よく見ると梅のつぼみが膨らみ始めていたり、鳥たちの声が少し賑やかになっていたり。そんな小さな春の兆しを見つけると、何だかちょっと特別な気分になれそうですね。
新しい年の始まり、それぞれの暦で、それぞれの方法で祝う。多様性に富んだ世界の文化、なんだか心が躍りませんか?
暦の知識を深めることで、日々の暮らしがもっと豊かになる。そんな素敵な発見が、この記事を通じてできたら嬉しいです。